
精神科で先発品を希望する際、特別な料金の目安について
2024年10月1日から始まった「本人の嗜好で先発品を希望する際の特別な料金」の徴収額について、とても興味深い?ことになっているので、今回記事にすることにした。
ベンゾジアゼピン系眠剤、抗不安薬などは、現在、薬価も後発品価格もかなり安価になっており、差異の25%が1円前後になっているものが非常に多い。差異の25%が10円を超えることがほぼない。
先発品を希望しペナルティを消費税を含めて徴収される際に、保険点数計算になるので、大部分が1日1点、つまり10円に収束し、14日分薬を貰って140円+消費税、154円が非常に多くなる。30日分だと300円+消費税、330円となる。
例えば、ゾルピデムではなくマイスリーを希望したとしよう。差額の25%は4円なので、切り上げで1日10円となり、支払いはその日数分になる(+消費税)。ソラナックスだと1錠ということは稀だと思うが、1日数錠処方されても僅かなので、やはり1日10円である。(+消費税)
それ以外の例えば非定型抗精神病薬でさえ、1日10円になることが多い。つまりベンゾジアゼピンも非定型抗精神病薬も同じ1日10円に収束することが多いのである。しかし、ごく一部に例外がある。例えばジプレキサザイディス10㎎。
ジプレキサザイディス10㎎の薬価;203.8円
オランザピンOD10㎎最高値;63.3円
ジプレキサザイディスの薬価が200円を超えていて、なぜオランザピンOD10㎎がここまで安いかと言えば、多くの製薬会社が製造しており、競争原理も働いていることが挙げられる。その結果、その差額25%でも42.55円と差が大きい。これは点数では1日5点になり、つまり1日50円(プラス消費税)が徴収される(55円)。これは30日分処方を受けると、1650円となり、自立支援法を受けていても援助されずそのまま徴収される。
なお、ジプレキサザイディスは1日上限が20㎎までなので、20㎎処方だと差額25%が85.1円となり、点数で9点(90円)となる。更に消費税がかかるため、99円×30日で、ペナルティは2970円もかかることになる。この辺りの金額が精神科界のペナルティとしては上限ではないかと思われる。
実は、ジプレキサザイディスが必須でオランザピンODではダメという医師のチェックはかなり苦しい。ほとんどの人で、この2剤は大差ないからである。しかし薬物動態はジプレキサザイディスとオランザピンは相当異なっているようには見える。なぜ結果が概ね同じになるかと言うと、ジプレキサザイディスは、MARTAという特性も関係ありそうである。
この辺りがズブズブと前回の記事で記載しているのは、医師が必要性を認めるケースで、処方箋に、なぜ先発品が必須なのかその詳細の説明が必要ないことに尽きる。つまり、そこまで厳しく運用されてないため、ズブズブと表現したのである。
確かに医師によれば、必要性も乏しいのに、「必要性を認める」を連発する人もいそうである。特にジェネリック嫌いの医師は。
僕の患者さんでは、1名だけ、ジプレキサザイディスでは幻覚妄想がまとまるのだが、オランザピンでは賦活が強過ぎて幻覚妄想が悪化する人がいる。何度繰り返してもそうなので、生活保護ながら、ジプレキサザイディス20mgを処方しているが文句を言われたことはない。このような事例を見ると、ジプレキサザイディスとジェネリックのオランザピンが同等ではないのは明らかである。
現在比較的、医師の曖昧な「先発品の必要性」容認しているのは、きっと移行期間だからだろうと思う。近い将来、25%どころか満額差額を支払わせる時代が来るかもしれない。それだけ、国民医療費は切迫している。
僕は個人的に今回のルールは賛成の方である。その理由は、わずか150円の増額でもジェネリックに変更する人がいるし、医師もそれまで漫然と放置していた先発品をジェネリックに変更する意識付けになるからである。
うちの病院はデュロキセチンはあまり処方数がなく、サインバルタばかりであった。その理由は、デュロキセチンが発売された当時、納入が不安定でサインバルタのままにしておいた方が良かったからである。今回のルール変更で、今後、サインバルタからデュロキセチンに変更が進むのは間違いない。
ジプレキサザイディス以外に、1日10円を超えそうな薬にはエビリファイや新規抗てんかん薬が挙げられる。ジェネリックが出ているわけで、新規と言う言葉も変だけど。
前回の記事では、今回のルール変更で、ラミクタールからラモトリギンに変更は中毒疹が劇的に出ないか不安、といった内容を記載している。ところが、
ラミクタール100㎎の薬価;89.2円
ラモトリギン100㎎の最高値;75円
こんなに高価なジェネリック見たことないといったところ。ラミクタールとラモトリギンの薬価差が極めて小さい理由は、おそらくラミクタールはスティーブンス・ジョンソン症候群などの毒疹が出るリスクが他の薬より高いため、ジェネリックを製造する後発品の製薬会社が少なかったからと思われる。
先発品とジェネリック価格に差異が小さいと、古いベンゾジアセピンと同じような状況になる。
ラミクタールとラモトリギンは競争原理が働かず価格差が小さくなったのであろう。ラミクタール100㎎とラモトリギンの価格差の25%は3.55円でしかない。これは点数では1点(10円)になるので、30日分処方されても300円(+消費前)にしかならない。もし1日、400㎎ラミクタールを処方されている人では、価格差が14.2円になり、これは2点(20円)なので、30日処方なら600円(+消費税)である。
ベンゾジアゼピンの場合、一部の人に是非先発品にしてほしいと希望する人がおり、1日10円くらいなら、むしろその方が良いと言う人もいそうである。しかし、医師のジェネリック処方の意識が高まるので、将来的には今回のルール変更は医薬品の医療費削減に貢献するように思われる。
今回のルール変更で特筆すべきことは、従来、調剤薬局は支払いで1円単位のやり取りはなかったのだが、今はあること。140円に消費税が付くと154円になる。
つまり調剤薬局は1円玉も準備しておかないといけなくなったのであった。
参考
今回の記事には不正確な部分があり、以下の記事も参照してください。