「背景知識」で解く論説文 


以前のコラムでも書きましたが、「背景知識」をしっかり持っておくことは、国語力の重要な要素です。



この記事でも説明したように、論説文の「背景知識」には、読のフレーム思考(例:どこに線を引いて文章の大意をつかむか)と解のフレーム思考(例:比喩の言い換えはどこに気をつけて解くか)の二つがあり、これをバランス良く身につけることが求められます。


さらに、この記事ではあえて説明していませんでしたが、「読」のフレーム思考の発展編として、「〇〇論」の流れを理解・記憶し、それをもとに問題を解いてしまうという高等テクニックがあります。


※この記事で少し触れていますね


これ、私は浜学園講師時代に小6/中3で試しましたが、中3では劇的な効果があった反面、抽象的思考力がまだ十分に発達してしない小6では、最上位層の子を除いてはきちんと理解・運用することが難しく、また、(少なくとも当時の)関西の中学受験国語ではそこまで高度な文章や設問が出ることも多くなかったので、中学受験では必須のテクニックではありませんでした。


しかし、関東の中學受験の国語のレベルは関西より明確に上です(対照的に算数や理科のレベルは明確に下です。いずれも、関西では3科入試が主流なことと算理偏重教育の浜学園の席巻のせいだと思います)。このレベルの問題に太刀打ちするためには、〇〇論を覚えて知識・教養で解くという戦略が小6にも必要なのでしょう。


予習シリーズ小6国語のカリキュラム設定やサピックス国語のカリキュラム設定をみてもその思想をありありと感じます。



​YTテスト③の誤算 


平均点が極めて低くて阿鼻叫喚をまきおこした前回のYTテスト③国語。確かに何も準備なく解くと歯が立たない文章・設問だったでしょう。


しかし、今回の文章は、実は大問3・4ともに、予シリの発展問題や最難関問題集と環境論の「典型題」。


環境論とは通常こういうロジックで展開される、という知識を知っていれば、あたかもYTテストやカリテの算数で演問の数値変え問題が出れば(一度やっているので)難問でも解けてしまうのと同じように、既習ブーストがかかった状態で問題を解くことが期待されていたのだと思います。


しかし、残念ながらそのような既習ブーストを授業でしっかりかけてもらった生徒は四谷大塚が予想した以上に少なく、みんなゼロベースであの文章を読んで解くことになったがゆえに、あの平均点になったのだと思います。



くま先生が図示する「環境論」の3段階 


くま先生が浜学園講師時代、自ら書いたテキストで「◯◯論」の体系的なインプットを図ったテーマは、

  • 言語論
  • 環境論
  • 人間論
  • 文化論
の4つです。国語の入試のレベルが高ければ高いほど、論説文のテーマはこの4つに収束する傾向があると思います。

このうち、言語論と環境論と人間論はほぼ同じフレームワークでわかりやすく図示することができるというのがくま先生の持論です。

まずは環境論を題材にご紹介しましょう。

ポイントは人間と自然の関わり方を3つの発展段階に分けて考えることです。

 第1段階



まずはこれです。原始時代(の中でも初期)のイメージですね。自然と人間は対等な関係として共存していました。



 第2段階




ところが、人間は進化するにつれて、自然と分離します。何によって分離するのかは論者によってまちまちですが、科学や技術の力とする人が多いですね(次点で言語の力)。


これにより、自然は人間にとって敵として征服し、管理して利用すべき「対象」となり、自分とは「別のもの」になります。


てなずけることに失敗して自然が危機に瀕したら、助けてあげる(守ってあげる)ことになりますが、「自然」を自分とは分離した別ものと考える点では、敵として征服するのと全く同じ発想です(このあたりの理解も受験頻出ネタです)。



 第3段階



そしてこれが多くの環境論が帰結する第3段階。


人間も実は大きな意味の「自然」の一部であることを自覚して、第1段階とは違う意味の「共存」を目指すというものです。


つまり、人間とは第2段階でみたような、(小さな意味の)自然を利用する存在であることを自覚し、その上で、自分も(大きな今での)自然の一部であるという観点で、持続可能な「共存」を図るというものです。



​3つの段階を意識して環境論を攻略する! 


環境論に関する文章を読むときは、筆者がこの3段階のどのことを言っているのかを気にするだけで、段違いに理解度が深まります。


特に「自然」や「共存」といったワードが、第1段階の小さな意味のことをいっているのか、第3段階の大きな意味のことをいっているのかを混同しないことがポイントです。設問もこの理解を聞いてくるものが頻出です。


※なお、環境論として出題される論説文のほとんどは、この定番の流れ(第1,2段階を説明して、第3段階が大事だよねと結論づける)ですが、たまにそれを否定したり、異なる観点で論じるものもあります。そのような「応用」問題を理解して解くにも、まずはここで述べている「基礎」を固めることが大事です。算数と同じ発想ですね。



宮崎アニメで環境論をマスターする!? 


私はよく環境論を「天空の城ラピュタ」や「風の谷のナウシカ」(シンプルな映画版の方)のアナロジーを使って説明していました。




私が講師だった頃はほとんどの子が観たことあったので使いやすいネタだったのですが、今でもみなさんお子さんに見せたりしていますか?


もしお子さんにラピュタやナウシカを見せていない人がいたら、至急見せておくことをオススメします!


環境論を理解するのにあれほどの教材はありませんにっこり


※ちなみにくま先生、特にラピュタは全セリフを暗誦できるくらい大好きです。私のクラスの鉄板ネタでした。昨日こぐまにも披露して呆れられました(笑


以下の問を「環境論」の観点から答えられたら、もう環境論はわかったも同然です。


【ラピュタ編】


Q なぜラピュタは空を飛べた?ムスカ大佐は飛行石を何といっていた?

Q ムスカ大佐はかつてのラピュタを何と表現していた?ムスカの目から見て、ラピュタと地上の関係はどんなものだった?

Q それに対して、シータは人と自然(土)との関係をどう述べた?それを宮崎駿監督はラピュタ崩壊のシーンでどう表現した?


【ナウシカ編】


​Q クシャナ殿下は腐海に対して、何を使ってどうしようとした?クシャナ殿下にとって腐海とはどういう存在だった?

Q それに対してナウシカをはじめ風の谷の人々は腐海とどういう関係を築こうとした?


次回は、ラピュタ、予シリ、最難関、YTテストがいかに全て「同じ」ことを言っているのかを解き明かしたいと思います。


実践編はこちら




初めましての方はこちらもどうぞ

 

 

 

 

    

 

ブログの紹介にっこり
 
元浜学園国語科講師で自身中学/大学/院/国家Ⅰ種/司法試験とあらゆる試験を一発合格してきた自称「受験のプロ」で、現役弁護士でもある「くま先生」が、国語が大の苦手な息子のこぐま(早稲アカから27中受予定)に伴走する受験記
 

 

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