盛岡食いしん爺日記
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盛岡の南大通から鉈屋町の方へ歩く。
花巻から来た高校時代の同級生を案内した。
盛岡で長く働いていた人もいたが、
毎日が追われる様な忙しいサラリーマン時代には
滅多にこの辺りには来なかったと言う。
確かに自分も同じ様なものだった。
人知れず路地の奥にある三面地蔵。
みんな驚いていた。
前にこの道の拡張計画があった。
しかし、ある方を中心に暮らす人々は、
車がやっとすれ違う不便さを受入れて町家を守った。
主導した方は亡くなったが、
今も脈々とまちづくりの歩みは確かだ。
情緒溢れる通りは歩くだけでも心地よい。
蔵を改造したゲストハウスもある。
海外の方も多く利用する。
Gipsy Kings - Inspiration
まだ3時半。
何も説明せずに細重酒店に案内した。
不思議な顔でついて来る。
知る人ぞ知る「もっきり」、全国的には「角打ち」と言う。
店の片隅で簡単なつまみで一杯やれる酒屋。
最近になって400年以上の歴史のある商家が、
日本酒ライフスタイル専門店の盛岡十一屋として数年前、
立ち飲みの有料ティスティングが出来る店を開いた。
モダンな角打ちの様なものらしい。
昭和の頃、「もっきり」は、あちこちの酒屋の奥で見かけたものだ。
しかし、今は鈴重のほかに知らない。
昔々、鉈屋町の裏には小さな運河が流れ、船から荷物を下ろした。
今は、道路になったが形が残っている。
鈴重は、江戸時代寛政年間の創業でゆうに200年を越える。
今も現役の町家は築130年以上。
塗の剝げた小さな傷跡は、
一つひとつが歴史の証。
微かに鰹節の様な古い木の匂い。
全国にまだまだ角打ちの店はあるだろうが、
この様な古い町家で飲めるところは、そうないだろう。
「お母さん、ノンアルもらいます」
とケースから取り出しお金を払う。
友達は真似をして各々が飲みたい物を選ぶ。
腰掛けようとして椅子が一つ足りない。
するとお母さんが、黄色いプラスチックのビールケースを置く。
次に折りたたんだ毛布を渡す。
毛布を敷きながら友達の眼は輝き、興奮を隠しきれない。
「まだ、こんなとこがあったんだ」。
そして乾杯。
ノンアル二人に生ビール二人。
みんな辺りを見回す。
ビールケースに腰を下ろした友達が言った。
「千葉、今日は最高だ!」
酒の肴は柿ピーと枝豆。
ノンアル以外の二人は、やはりもっきり。
お母さんが注ぐのを見つめている。
「いいなあ~この感じ」
常連さんぽい人、一人で訪れた若い女性。
お母さんの話で全員が笑ったり、
それぞれに話し込んだり、
一人で杯を傾ける人。
前に来た時は、皆で相撲のテレビを見ていた。
この空間はとても居心地のいいコミュニティ。
最近、この町に月替わりで世界の料理とワインを楽しむ店もオープン。
町家の主屋を抜け、中庭を通り離れに歩く。
きっと歩むごとに日常の喧騒から離れていく。
そんな感じがする。
近いうちに行きたいと思う
また新しくパン屋さんも出来た様だ。
県産小麦と自家製酵母で人気らしい。
どちらもこの町によく合う気がする。
少しずつ昔ながらの街並みに新しい芽吹きもある様だ。
町家が続き、まだ現役の清水もある鉈屋町。
この街にあり、昔のままだからこそ立ち寄りたくなる場所だ。
町家が並ぶ盛岡の鉈屋町、
古い町家「鈴重酒店」の角打ちの肴は柿ピーと枝豆でいい
ここは盛岡の貴重な文化遺産だと確信している。




















