家の玄関に車が乗りつけられ、

荷物の配達かな、と思ったら

若いお兄さんが

手ぶらで降りてきて

「どうも、こんにちは!

僕、メタル・

ディテクタリストです!」

 

メタル・・・

 

何だって?

 

「メタル・・・?」

 

「メタル・ディテクタリスト、

あの、メタル・ディテクター

(Metal Detector)って

わかりますか?」

 

 

 

 

「金属探知機・・・ですよね?

ああ!あれを使って

地面を探索する人ですか!」

 

「そうですそうです!」

 

つまり彼はトレジャー・ハンター、

地面に埋められたお宝探し屋。

 

 

 

 

これは英国では

割とメジャーな趣味なんです。

 

「よかったらお宅の周辺の敷地を

探らせていただけませんか?

行政に提出する書類なんかは

僕のほうで書きますし、

お宝が出たら僕のほうで

鑑定をしますし、もし

価値のあるものが出たらば

そこはちゃんと

話し合って、ええ」

 

 

「こちらのお宅は

向こうの農家の方から

ご紹介いただいたんですよ、

マイケルさん(仮名)と

アーノルドさん(仮名)、

ところで奥様のお名前は?

あ、僕はジョナサン(仮名)です!」

 

後日確かめたところによると

マイケル氏もアーノルド氏も

この日彼の訪問を受けていて、

でも私を紹介した覚えはなく

「たぶん彼は次の家で

君の名前を使うね、

それが彼の手だね」

 

そんなところだろうと

私も思っておりました。

 

ちなみにこの話を

夫(英国人)にしたら

「そのジョナサン君とやらが

また来たら断ってください

 

「あ、君はそういうの嫌か」

 

「嫌っていうか、僕の

イングランドの従弟も

趣味で金属探知をやるんですよ。

いつかこの家の周辺を

探知させてくれって

もう予約されているんです」

 

英国では金属探知は!

 

割とメジャーな趣味なのです!

 

 

それでまた色々と

面白いものが探知されて

掘り起こされているらしいです

 

我が家には一時期

裏社会関係者が

身を隠していたという話で

・・・なんか怖いものが

発見されそうな

予感がするんですが

 

怖いものが出るなら一緒に

幽霊も出て欲しいですね、

そうすると英国では

資産価値が上がりますから

 

・・・そういう浅ましい

料簡の持ち主のところには

お宝はないんじゃないですかねえ

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羊飼育について

私が最近学んだこと。

 

 

羊の繁殖期に

雌羊を丘に放したまま

そこで出産させるか、

それとも納屋を産院にするか、

どちらを選ぶかは

羊飼い次第なのだそうです。

 

 

 

 

私が面識のある

牧場関係者の多くは

屋外での出産を選択しています。

 

羊の品種にもよるのですが

それが本来の、というか

自然に近い、というか

伝統的な方法であるのと、

ここらへんの羊飼いは

ひとりで千頭以上の羊の

面倒を見ていることもあり

そのすべてを納屋という

限られたスペースで

出産させるのは

ちょっと難しいのと、

「あと納屋を利用する場合は

衛生管理上どうしても

薬剤を使うでしょ、

それを嫌がる羊飼いも多くて、

あと一度病気が発生すると

納屋飼いの場合は一気に

感染が広がるのよね」

 

では外飼いの大変さは、というと

万一の事態を防ぐため

羊飼いが一日中牧草地を

駆け巡って羊たちの状態に

目を配らなくてはならない点。

 

故に繁殖期の羊飼いは

朝は日が昇る前から

夜は日が暮れた後も

敷地を四輪駆動バイクで駆け巡り

難産をしている雌羊はいないか、

育児放棄された子羊はいないか、

体調が悪そうな個体はいないか、

悪事を働こうとしている

キツネやカラスはいないか、

これでもかと目を光らせる。

 

・・・私なんかはたぶんもう

体力面で仕事にならない。

 

じゃあ体力に

自信のない羊飼いは

納屋飼いを選択すべきか、

というとそんなこともなくて、

だって皆さん納屋の掃除って

それが小型納屋でも

結構な大仕事ですよ・・・

 

羊の数によっては

一日ずっと掃除をしていても

手が足りない、

みたいな話ですよ・・・

 

私が子羊授乳の

お手伝いに行っている牧場も

基本は屋外繁殖、でも

何かあった時にいつでも羊を

収納できるよう納屋の準備は

整えてある感じです。

 

その納屋がですね・・・

 

映画撮影に使ったら監督から

「清潔すぎる、こんなキレイな

家畜用納屋があってたまるか」

みたいなお小言を頂戴しかねない

美しさでですね・・・

 

プロの衛生管理意識の高さを

目の当たりにしております

今日この頃でございます。

 

 

何事も玄人はすごい

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私が朝のお世話の

お手伝いをしている子羊たち

「例年になく育ちがいい」

そうでございます。

 

お手伝い先の牧場主奥様と

その息子さんである

羊飼い氏に言われたのですが

まあこれは私へのお礼半分の

お世辞なんだろうな、と

軽く受け流しておりましたら

「ちょっと!本当の話よ!

今年のペットラム(Pet Lamb、

人間から哺乳瓶でミルクを

貰って育つ子羊のこと)は

皆いい感じに大きく

丸くなっているの!」

 

それは負傷戦線離脱した

毒舌夫人や牧場主奥様の

初期の献身のおかげでしょう、と

前置きしたうえで

「例年になく、ということは

たとえば去年のペットラムは

小柄だったりしたんですか?」

 

「去年の、というか

ペットラムは基本的に

小柄だったり病弱だったり

することが多いのよ」

 

そもそも子羊が何故

人工授乳を必要とするかというと

それは多くの場合母羊に

育児放棄されるからなのですが、

羊というのは乳首が二つ、

三つ子を産んでしまった母羊は

1匹を後回しにせざるを得ないし

子羊2匹なら問題なく

育てられるかというと

母乳の量が足りなくて

1匹で手一杯という事態もある、

「そういう時、母羊は

一番弱い子を見捨てるの。

だからペットラムになる子は

そもそも体が弱いのよ」

 

 

 

 

そうした背景を持ちながらも

今年のペットラムは

おかげさまで大きく

肥えたとの話なのですが

「それでもね、この子羊を

外で母羊と一緒に育った

子羊の隣に並べるでしょ、

その差は歴然としているのよね」

 

母羊に育てられた子羊は

同じ年頃の『善く育った』

ペットラムよりも

ひとまわり

体が大きいのだそうです。

 

「どれだけ人間の手で

ミルクや飼料を与えたり

薬を飲ませたりしてもね、

母羊にはかなわないの・・・!」

 

しかもペットラム育成に

必要なミルク・飼料代、

人件費を考えると

「赤字にならなかったら

運がよかった、みたいな

話なのよ、これは」

 

故に育児放棄された子羊を

そのまま見捨てる、という

方針をとっている牧場も

実は存在するのだそうです。

 

お金のことだけを考えたら

それは間違ってはいない。


でも多くの羊牧場は

そこを割り切ることは出来ずに

この奥様のように毎年

母羊に見捨てられた子羊を

大切に愛情込めて育てている。

 

そりゃいつかは

売っちゃうんですけど。

 

 

・・・ここを考え始めると

話が長くなるので割愛しますが、

子羊たちが立派に育ちあがるまで

私もお手伝いをしたいと思うのです。

 

 

何故『美』という漢字は

『羊』が『大きい』と書くのか、

なんとなく体感的に

わかり始めたような気がします

 

大きい羊はいいよ・・・

 

最高だよ・・・

 

でも育ちがいまひとつの

小柄で華奢な子羊もそれはそれで

・・・これは私が

大柄だからですかね?

 

私は昔から殿方は

小柄なほうが好みで

(でも小柄な殿方は

私のような大女は

お好きではないことが多かった)

 

大きくても小さくても

健康が一番

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朝の子羊への授乳手伝い。

 

 

負傷退場なさった

毒舌夫人の穴を埋めるべく

奮闘しているわけですが、

現在人工授乳を

必要としている子羊は25頭、

各自に1本ずつ哺乳瓶を与え

全員が食事を終えたところで

余ったミルクを

『おかわり』としてまだお腹が

膨れていない様子の子に与える。

 

『お腹が膨れていない』は

文字通りの意味で、

十分な量の

ミルクを飲んだ子羊は

背中側から見ると

お腹部分がぽこんと

横に張り出している。

 

子羊がもっと小さい頃は

この『ぽこん』が

空気だったりすることもあり

(つまりミルクと一緒に

空気も飲んでしまっていて

それは子羊の身体に悪い)

注意が必要とのことですが

今私が世話をしている子羊は

全員がもう哺乳瓶から

ミルクを飲むのに慣れていて

その点心配する必要は

あまりないとのこと。

 

そんなわけでまだお腹に

余裕のありそうな子を見定めて

おかわりミルクを与えていると

それに気づいた他の子羊が

「僕もおかわりー!」と

寄って来てもう邪魔で邪魔で

滅茶苦茶可愛くて困っちゃう

(本音が隠し切れなくてすみません)。

 

さてそしてここに1頭

他の子羊よりも

一回り身体の小さい

毛色が少し

灰色がかった子がおりまして。

 

この子のおかわり要求が

妙に自信に満ちているというか

他の子羊たちが必死になって

「おばさーん!給食のおばさーん!

おかわりくださーい!」と

全力で声を上げ突撃してくる一方

この灰色のおチビちゃんは

「僕はおかわりを貰えるよね、

僕、知っているからね、で、

僕のおかわりミルクはどこ?」

 

・・・これはさては、と

入院中の毒舌夫人を

問いただしましたら

「あの子は私のお気に入りでね、

はい、認めます、私は

毎回あの子に予備の

ミルクを与えていました」

 

そういう贔屓

許されるんですかっ?

 

私は給食のおばさんとして

そこらへんは公平であろうと

先入観なく毎朝ミルクを

必要としていそうな子に

せっせと予備の哺乳瓶を

差し出していたのですが?

 

でもまあこういうのは

どうしても個人の趣味というか

哲学みたいなものが

にじみ出るのかもしれません、

私もまずお腹のふくらみが小さい子に

おかわりをあげるじゃないですか、

それで次に身体の小さな子に

「早くもっと大きくおなり」と

予備ミルクを与えていたのですが

ある時ふと自分の幼少期を思い出し、

つまり私は身体の

大きい子だったんですが

大きく育つ子供って基本的に

常にお腹を空かしている

傾向が強いと思うんですよ。

 

例外は勿論あるんですけど。

 

わが弟(割と背が高い)が

20代をなかばも過ぎた頃でしょうか、

ある日突然真面目な顔で

「お姉ちゃんて

『お腹いっぱい』って感覚、

いつ理解した?俺はさ、それ、

子供の頃は全然わからなかった、

どれだけ食べても

常にお腹が減っていた」

 

・・・その気持ち!

 

わかります!

 

というわけで最近は

身体の大きい子羊にも

ちゃんとおかわりを与えていて・・・

 

だから結局すべての担当子羊に

おかわりをあげているような・・・

 

ともあれ灰色チビスケちゃんは

私の思惑などおかまいなしに

「僕はおかわりが

もらえるはずだもんね、

だっていつも貰っていたもんね、

ねえいつもの僕に特別優しい

給食のおばさんはどこ?

あの人なら絶対に

おかわりをくれるよ?」

 

・・・毒舌夫人に成り代わり

この子のことをさりげなく

贔屓してあげている私です。

 

中立性を保てずすみません。

 

 

『お腹がいっぱい、という

感覚がわからない』が

わかるあなたも

わからぬアナタも

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先日、白と茶色の

ボーダーコリー風の犬が

近所で目撃され、

付近住民は騒然となりました。

 

ここらではかつて

見かけたことのない風体の犬で、

しかも人間(飼い主)を伴わずに

道をフラフラ歩いていたそうな。

 

・・・羊の出産シーズンは

一段落、それはつまり

一帯の牧草地に母羊と子羊が

群れを成していることを

意味しまして、そこに万一

犬が迷い込んだら

それは洒落にならない大惨事。

 

いったいどういう犬なのか、

近所の森に遊びに来て

人間とはぐれちゃったのか、

それとも家から脱走して

長距離を移動しちゃったのか、

目撃した人が声をかけても

犬は不安そうな様子で

離れて行ってしまったそうで、

ここらへんの家は現在皆

犬を飼っているんですよ。

 

つまり全員が基本的に犬好き。

 

ですからもう全員が

散歩の時に注意したり

仕事の行き帰りに

車を停めて犬を呼んでみたり。

 

・・・犬は数日後に

冷たい状態で森の藪の中で

発見されました。

 

犬好きとしてせめて、と

発見者は件の犬の骸を

近所の獣医さんに持ち込んで

「チップが入っているか

確認してもらえますか」

 

結果チップは入っておらず。

 

そもそも犬には首輪が

ついていなかったそうで、

わがお散歩仲間の毒舌夫人

(現在入院中)は

「どっかの馬鹿が

捨てて行ったのね、きっと」

 

「どうしてそんなことを

するんでしょうかね。いえ、

犬を飼ったら死ぬまで面倒を

見ろとかそういう正論を

言いたいんじゃなく、

英国にはいくらでも

犬の保護施設

あるじゃないですか。

そこに連れて行って

世話をお願いすれば

いいじゃないですか」

 

「そういう人は施設の人と

話をするのが嫌なのよ」

 

「無責任だって

非難されるのが嫌なら

『自分の犬じゃありません、

公園にいたんです』とか

嘘をついちゃえば

いいじゃないですか」

 

「そういう手間を

かけるのも嫌だって人間が

世の中には沢山いるのよ」

 

でも自宅から離れた山奥に

車を走らせてやって来て

そこで犬を蹴りだして捨てるって

それはそれで

別の手間じゃないですか!

 

そこまでやるならさあ!

 

せめてどこかの公園とか

駐車場の柵に犬をリードで

つないでおけばさあ!

 

いや、それは

よくないことですよ?

 

犬からしたら本当に

悲しい状況だし

公園とか駐車場の管理者にしたら

大迷惑この上ないですよ?

 

でも犬は事故死はしないで

済むじゃないですか!

 

飼育を放棄するなら放棄するで

そこにせめて最低限の

倫理を求めたい私です。

 

「犬を捨てるような人間に

そんなもの求めるだけ無駄」とは

毒舌夫人の言葉です。

 

それはそうかと思うんですけど!

 

 

わが愛犬アーシーは

元盲導犬候補生で

その時私もいくつか

「仔犬の時だけ可愛がって

手のかかる成犬になったら

手放すんですね」

みたいなお言葉を

ブログ経由で頂戴したんですよ

 

ああいう方たちにとって

犬というのはもしかすると

仔犬時代は可愛いけれど

成犬は面倒くさい、

可能なら手放したい

存在なのかもしれない

 

でもそれは違うと私はいいたい

 

末永く犬と暮らしたい

愛犬家にとって

むしろ面倒くささは

仔犬時代が最高潮

 

私も何度も心が折れかけました

 

 

でもね、あの苦闘の

子犬時代があってこその

今の成犬アーシーとの

幸福の日々なんですよ

 

もうさ、本当さ、

捨てるならちゃんと捨ててくれ!

というこれは魂の叫びです

 

犬は捨てるな、

捨てるならちゃんと捨てろ

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