このコラムについて
このコラムは、元浜学園国語科講師であるくま先生が、最強酷語男子であるこぐまと格闘している経験をもとに、受験で必要な国語力とは何か、そしてそれを引き上げるにはどうすればよいのか、その戦略と戦術をコラムにしてまとめたいと思います。
酷語克服のヒントになれば幸いです。
コラム
2年で国語の偏差値を30⇨60にした方法
(毎週土曜日更新)
目次
第1回 酷語男子・女子はなぜ生まれるのか
第3回 各論①語彙力・漢字力
第4回 各論②文法力
第5回 各論③読解体力
第6回 各論④フレーム思考・背景知識
第7回 各論⑤想像力・共感力
第8回 各論⑥解答力
第9回 各論⑦スピード力
第10回 タイプ別酷語の改善方策
第11回 まとめ
国語力の根本、語彙力
我々がいきなりフランス語の文章を読んでもわけが分からないのに、中国語の文章を読むとなんとなく意味が分かるのは、中国語の語彙と日本語の語彙が一部共通しているからです。
言葉の意味を正しく知ること=語彙力はいうまでもなく国語力の礎です。酷語男子・女子が酷語状態になっている原因として、真っ先に疑うべきはこの語彙力です。
読書量が少なかったり、読書していても読書ジャンルが偏っている場合には、語彙力の不足は起きがちです。
語彙力と言っても様々ありますが、説明的文章では熟語の語彙力、文学的文章では慣用句の語彙力が特に重要です。
説明的文章では抽象的な考えを説明するために熟語が多数使われますし、文学的文章では心情の描写に慣用句は頻出ですよね。
英語の勉強を思い返してもらえればわかると思いますが、一段落に意味のわからない語が3,4個でるともう段落全体の意味が分からなくなって詰む…
という経験、みなさんもありますよね? 酷語男子・女子も同じ状況におちいっている可能性は高いです。
語彙力と漢字力は全然違う
語彙力を強化する上で気をつけなければならないことは、語彙力と漢字力は似て非なるものであることです。
漢字学習の中には、確かに未知の語彙も含まれることはあるでしょうが、その割合は意外に少なく、意味は知っているけれど書けない場合の方が圧倒的に多いのです。そのため、漢字学習の際に、知らない単語の意味を調べて漢字力+語彙力の同時強化を図ることは(やらないよりはやった方がよいですが、それだけで語彙力を強化することは)ほぼ不可能です。
語彙は語彙だけに特化して鍛える必要があります。
ではどう鍛えるか?
四谷大塚系では、「漢字とことば」テキストー通称「漢こと」で新出漢字とは別に語彙のセクションがありますので、これを使うのは一つの手です。
ただ、漢ことの語彙はインプットに比べてアウトプット(問題)の量が少ないのが欠点です。インプットとして掲載されている語彙の2~3割程度しか問題に掲載されず、かつ確認テストや組分けテストもその2~3割の中から主に出題されるので、どうしても問題だけやってその直しをやって終わり、という勉強になりがちです。
「漢こと」を使って語彙力アップを図るには、インプットの部分には載っているけれど、問題にはなっていない部分(残りの7~8割)を、親がアウトプット用の問題を準備するなどして別途対応する必要があるでしょう。
そんなのめんどくさい!という人は漢ことを使った語彙力強化はあきらめて、市販テキストを使うのが良いと思います。
我が家はこれを使っています。1日2枚程度なら数分で終わります。朝勉の時間など、日々のルーチンに組み込んでおくと良いと思います。
どこまで時間かけるか悩ましい「漢字力」
対して、どこまで時間をかけるか悩ましいのが「漢字力」(特に書きとり力)です。
漢字強化は酷語脱却の近道のようでいて、意外にコスパが悪いです。酷語男子・女子は漢字の書き取りが苦手な子が多く、しかもやっかいなことに一度覚えてもそう時間のたたないうちにきれいさっぱり忘れることや、突如ゲシュタルト崩壊を起こして正しい字を書けなくなることがままあります。
後述するように、これは酷語男子・女子の宿命みたいなもので、ある程度受け入れざるを得ないと思います。
ここを必死に直す時間があれば、他に足りない国語力を特定して、そこを強化していく方が受験国語では良い点を取れます。
なので、漢字は何か追加で手を出すというよりは、四谷大塚系の場合は、日々の「漢こと」をしっかりこなし、宿題や模試で間違えた漢字はストックしておき、ことあるごとにやり直しをさせるくらいの力の入れ方でよいと思います。
ただし、社会で出てくる漢字だけは気合を入れて覚える必要があるので、そこだけはインテンシブにやる必要があります。
わが子はディスレクシア(読字・書字障害?)
先ほど、漢字がなかなか覚えられないのは酷語男子・女子の宿命といったのは、酷語男子・女子の中にはある程度の割合でディスレクシアと呼ばれる学習障害の一種を引き起こしている場合が多いからです。(中学受験をするようなお子さんの場合は、書字障害は少なく、例えば漢字の書き取りが苦手でもその根本原因は読字(文字を目に入れる過程)に問題があることが多いと思います。)
「なんでこんな漢字が覚えられないの!」と我が子を叱る前に、こういう種類の学習障害もあるのだということは知っておいて損はないかと思います。
ここの「読字障害」のところを読むと、幼き日のこぐまそのもので驚かされます![]()
上記リンクにも言及がありますが、ディスレクシアは論理的思考力(知的能力)とは基本的に関係ありません。それゆえ、他の力(フレーム思考や記述力等)を鍛えることで、「漢字の書き取りは全然できないし、読むのも早くないけれど、文章の読解はきちんとできて、記述問題もそこそこ書ける」という、いわば酷語男子・女子の最終改善形態に行きつくことができるわけです。
また、ディスレクシアは音読(親による読み聞かせ、子ども自身の音読)や心身の自然な成長により徐々に改善されると言われています。受験勉強で日ごろ接する問題文を音読したり、授業という言葉のシャワーを浴びることで、自然にその症状は改善されていくことも多いと思います。
なお、私の経験上、ディスレクシアの中で最もやっかい(トレーニングによる改善が難しく、国語のみならず他教科での成績の伸び悩みにつながる)なのは「鏡文字」症状のあるお子さんたちでした(読字と書字の両方に障害があるケースが多い)。このレベルになると、例えば問題文を文字レベルでそもそも正しく認識できない&正しく考えられていてもそれを正しく答案に書けないということが頻発するので、このような場合は専門的な医療機関に相談するのが良いと思います。
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