私の職場には、マネージャーとアシスタントマネージャーがいて、いわゆる店長、副店長である。
その下にスーパーバイザーなる役職を持つスタッフが3名いる。
採用基準は、未経験でも採用されるし、20歳学生でも採用される。
人柄がその面接で良くて、日頃の仕事っぷりがまあ日本でいうところの「与えられた持ち場の仕事を当たり前に最低限やる」と、「あの人は真面目でちゃんとやる人」となり、役職を与えられる立場に受かったりする。
店長、副店長が不在の時は、このスーパーバイザーが責任者として立ち回るわけであるが、これが3人共に嫌われる事を極度に恐れているのか、アルバイトらがサボっていても何も言えない。
1度2度は言った場面を私も見たことがあるが、アルバイトらが反論または反発する。
「○○やって」とお願いしたら、「そういうあなたがやれば?」と言い立ち去る。
またはアルバイトがスーパーバイザーを無視したりと、完全にナメられている。
水曜日、私は在庫室で入荷商品相手に忙しくしていた。
いつもなら、在庫室には人が入れ替わり立ち替わり出入りして、売場を常に商品で埋めておかねばならないが、その日は朝から午後1時まで誰も来なかった。
全く商品が売れていないのか?そんなに暇なのか?と不思議に思い売場に行くと、棚は半分ガラガラ、めちゃくちゃ売れていた。
しかし、フロアのスタッフは真ん中に集まり談笑。
客はほったらかし、試着室には衣類が散乱、あげく下着の試着までやられた上に盗まれて尚、気が付かず…
私は「何で誰も在庫埋めてないわけ?あんたら役職あるものがアルバイトを動かさな、誰が動かすの?あんたらの仕事やで」とスーパーバイザーに注意。
それから一時間しても、まだ誰もやらない。
午後3時の時点で4回目の注意を出した。
売場の人気商品の棚はガラガラになっていた。
しかし、まだ談笑していた。
やはりアカンかった。
堪忍袋の緒が切れた。
翌朝、副店長と出勤した私は「私、無理やわ。いつまでに辞表出したら受理される?」と聞いた。
パニックになる若僧副店長。
直ぐに店長に電話して、なにやら話している若僧。
金曜日、姉妹店とうちの店舗を兼用しているマネージャーがきた。
出勤日ではないのに来た。
マネージャーは私に「何か話したいことありますか?」と恐る恐る聞いてきた。
私は「無い」と答えた。
マネージャーは「あなたが全て正しかった。間違っていたのはあの日のスタッフ。もう2度と同じストレスをあなたに与えないから、留まってもらえませんか?」と言ってきた。
マネージャーが管理、教育出来ていないのだから、この人の責任と言えば責任であるが、しかし人手不足の現実がある現状、この人の目が届くのは難しい。
ならばアシスタントマネージャーの若僧に責任はあると言えばある。
が、結局アカンのは責任者でありながら、部下と共に遊んで良いと思っているスーパーバイザーなる役職の仕事に対する無責任感のみである。
私は半泣きになりながら頭を下げるマネージャーを可哀想だと思った。
目なんか行き届くはずがない。
私は条件を出した。
スーパーバイザーなる役職手当をもらっている人間が、嫌われる事を上等として部下に注意すること、させること。
出来ないなら、あなたがさせること。
それが見えなかったら、即日辞めると言った。
救いなのは、2人のスーパーバイザーが私に謝罪してきた。
本当にごめんなさい、私がやるべき仕事をあなたにやらせてしまったと、ほんまにわかってんのか分かってへんのか知らんが言うてきた。
後の一人はノーコメント。
仕事に来ていながら、仕事があることに感謝をもてないのは仕方ない。
私のような外国人と違い、面接に漕ぎ着けるまでに30通もの応募すらしなくても良い
のだから。
面接で物言いがちゃんとしているような感じだったら採用されるのである。
だから、私のように頂けた仕事に責任を果たし、期待されている以上の仕事をしなければ…なんて思うのは無理である。
しかし、時にこの無気力なまでに仕事をサボる事だけに命をかけている情熱家を見ると、ガッチリ立てていた盾を落としてしまうことが数年に1度ある。
落としてしまった盾を拾い、再び立てるまでに自分の闘争心にも似た奮起を戻すのに時間がかかりだしたのは、私が年齢を重ねたからだろうか…
