「怒り」の形をした『絶望』 | 水面に浮かぶ水銀の月

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下級役人から見た、教育現場の内実や子ども達との日々を、愛を込めて発信しています。

例えばかつての、ある日の我が家。


具合が悪い私は、ツレ
夕飯の仕度をお願いする。

早めに言っておいた方がいい
かと思い、まだまだ夕食には
間がある時間に、頼んでみる。

 (※ツレは料理が得意)


するとすぐ、黙って作り始める彼。


「まだ大丈夫だよ?」


声をかけても、返答なし。


さっさと作って、置いておいて
くれるつもりなのかな?

あれっ?!でも、

皿によそい始めたけど💦


 「あのさ、だから
 まだ大丈夫だよ?

 どっちみち、具合が悪くて
 そんなに食べられないし…」


すると




 ザザーッ!




流しに、できた料理を捨て

テーブルに並べた皿もまた
流しの中に放り投げる、彼。



 ガシャンッ!!



割れる皿。そして





 バタンッ!!!





家を出て行ってしまった…





呆然と、取り残される

ヒーローのフィギュアを
握りしめた幼い息子と、私。

 
 「すみませんでした。

 食材と皿を無駄にして
 しまったので、今後はもう
 俺の食事はいりません。

 その分、寝ずに働きます。


 すみませんでした…」



そうしてその後、夜も寝ず、
何も食べず水だけを飲む彼。


そんな状態のまま数日間が経過。


やつれて、きかない彼に
心配よりもイラついてくる私…



 あーもう、めんどくさッ!!

 あてつけ?嫌味だよね?!


 「すみませんでした」って
 言うけど、その態度は何?

 謝ってくれたのだから、
 それでもういいじゃん


 いつまでも、何が不満なの?
 これじゃ、私が悪者みたい!!


あー、もう!頼むんじゃなかった。
具合が悪くても我慢するんだった。


 悪いのは私?


 私が悪いのか?!!


『そんなことで怒らないで』

そう言うと


「怒っている訳ではないっ!!」

と、よく返されました。



 だからさぁ…


「怒っている」から、そんな
態度になるんじゃないの??


しかし彼は、本当に怒って
いたではなかったのです。


彼は自分が許せなかったのでした。



 まず第一に、そもそも

 妻の具合が悪いことに
 気づけていなかった。


 頼まれた瞬間に思いついた献立は
『出来上がった直後美味しい』
 ものだった。

 「今すぐ作れ」と言われたと
 勘違いをしていたのだ。

 結果、適切でないメニュー
 選択してしまっていた。

 病人向けでもなかった。


 失敗だった。


 皿を割るつもりはなかった。

 乱暴に置いてしまったせいで、
 無駄に破損させてしまった。


 ひとつがダメになると、もう
 すべてがどうでもよくなる。



家族の具合が悪い時ですら
うまく振る舞えない、そんな


 存在価値のない
 自分!!!

 
 そうした、自分存在
 「我慢」がならなくなる。


 眠らず、食べない方が楽。


 自分を痛めつけると
 ちょっとほっとする。




彼が自身の行動を、冷静に言語化し

私もまた、それを理解し、
納得できるようなるまで
何年もの時を要しました。


そして


数々の「ヤラカシ」陰に

発達障害の特性が隠れている』

と、彼自身が自覚するまでには

誕生から半世紀以上年月
必要としてしまったのでした。