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夏期講習の最後に

頑張っているのに
中学受験生が

『実は』失っているもの

という記事を書きました

 

 

 

あの記事を書いてからも
ずっと考えています

 

 

というより

考えれば考えるほど

ああ、私は今年ずっと
同じことを気にしていたんだな

と思うのです

 

 

夏期講習中

「あ」から始まる
中学受験の言葉を言ってごらん

と子どもたちに言ったら

教室が
シーンとしてしまいました

 

 

青森、秋田、愛知

有明海、アンモニア、
アルカリ性、飛鳥時代
足利尊氏

 

知っている言葉は
いくらでもあるのに

出てこない

 

 

「青森」とひとつ出してあげると

「あ、秋田!」

と続く

 

 

つまり
知らないわけではないのです

 

 

頭の中にはある

 

 

でも

自分で探しに行くための
最初のきっかけを

自分で作れない

 

 

私はそこに
引っかかりました

 

 

でも

私が今年気になっていたことは
これだけではありません

 

注意された瞬間は直す

 

でも
次の問題になると元に戻る

 

「ここに線を引こうね」

と言えば線を引く

 

でも次の問題では
また引かない

 

 

教えられたことを

今、この問題で言われたこと

としては受け取れても

自分はこういうところで
間違えやすいんだ

という

自分の情報にして

次へ持っていくことが
難しい子が増えました

 

 

困ったときもそうです

 

何かがない

何かができない

予定通りにいかない

 

そんなとき

「じゃあ、どうする?」

と聞くと止まる

 

 

誰かが次の指示をくれるのを
待ってしまう

 

 

私は30年近く
小学生を見てきました

 

 

もちろん
こういう子は昔からいました

 

ですから

「今の子はダメ」

なんていう話を
したいのではありません

 

 

ただ

こういう場面に出会う回数が
明らかに増えた

というのが
私の実感なのです

 

 

そして
ここからは私の思うことつらつらと

 

子どもたちの力が
急に落ちたのではなく

 

その力を使わなくても
暮らせるようになった
のだと

考えています

 

 

分からなければ説明がくる

止まれば促してもらえる

間違えれば訂正してもらえる

忘れれば通知がくる

探せば答えが出てくる

 

 

とても便利になりました

 

そして私たち大人も

子どもが困らないように
一生懸命です

 

 

忘れそうなら声をかける

間違えそうなら止める

遠回りしそうなら
やり方を教える

間に合わなそうなら調整する
 

 

特に中学受験は
時間との勝負でもあります

 

毎週やることが山ほどあって

次のテストは
待ってくれません

 

 

だから

子どもが10分考えているくらいなら

「こうしたら?」

と言ってしまったほうが早い

 

 

でも

そこで少し
考えたいのです

 

 

「あれ?」

「どうしよう」

「じゃあ、こうしてみよう」

「ダメだった」

「だったら、こっちは?」

 

 

この
なんとも効率の悪い時間を

子どもたちは
どれくらい持っているでしょう

 

 

失敗する

困る

迷う

探す

やってみる

また失敗する

考え直す

 

 

大人から見れば

全部
時間がかかることです

 

 

でも

自分で考えるというのは

本来こういうことなのでは
ないでしょうか

 

 

何もないところから
何かを始めることも同じです

 

 

退屈したら

昔の子どもは

その辺にあるもので
遊びを作りました

 

これは昔礼賛ではありません

 

今は今で
安全のために必要なことも
たくさんあります

 

 

ただ

何も起こらない時間に

「さて、どうしよう」

と自分で自分を動かす経験は

確実に減っています

 

 

そして私は

これが勉強だけの問題では
ないことを

いちばん心配しています

 

 

人生は

問題集のようには
できていません

 

 

何ページをやればいいかも

何時から始めればいいかも

どの方法が正解なのかも

誰も教えてくれない場面が
やってきます

 

 

そのとき必要なのは

知識をたくさん持っていることだけでは
ありません

 

 

自分の中にあるものを探す

状況を見る

ひとつやってみる

違ったら変える

 

そして

 

「私はこうしたい」

と自分で決める

 

その力です

 

 

だから

中学受験をしている今こそ

全部を整えてあげることだけが
親の役割ではないのかも

しれないのです

 

 

忘れ物をしそうなとき

宿題が終わらなそうなとき

テストで同じ間違いをしたとき

 

子どもが

「どうしたらいい?」

と聞いてきたとき

 

 

すぐに答えを渡す前に

ほんの少しだけ

「どうする?」

と返してみる

 

 

そして

すぐに答えが出なくても
待ってみる

 

これはきっと

親にとっても
なかなか難しいことですね

 

失敗させるより

教えてしまうほうが
ずっと簡単です

 

待つって修行だからね

 

 

でも

先回りは
子どもを守ることはできても

先回りだけでは
育てられないものがある

 

 

この夏

子どもたちを見ながら

私はそんなことを
何度も考えました

 

 

「あ」から始まる言葉を
探せなかったこと

 

注意されたことを
次の問題に使えなかったこと

 

困ったとき
別の方法を思いつけなかったこと

 

 

「いやだ」の先にある

「じゃあ、私はどうしたい?」

が出てこなかったこと

 

 

別々に見えていたことが

今の私には
ひとつにつながって見えています

 

 

子どもが

自分の頭の中を探し

自分で考え

自分で決め

自分から何かに働きかける

 

 

そのために必要なのは

もっと何かを
与えることではなく

 

大人が少しだけ手を引いて

子ども自身が

「さて、どうしよう」

と考えなければならない時間を

返してあげることではないでしょうか

 

 

新学期が始まりました

 

夏より忙しくなりますね

 

だからこそ

全部を効率よく回すことだけを
目指さずに

 

 

子どもが立ち止まっている時間を

「何もしていない時間」

と決めつけないこと

 

 

その沈黙の中で

子どもの頭が
自分で動き出すのを

ほんの少し

待てる大人でありたいと思います

 

 

 

 

 

 

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